マンション大規模修繕の際、「リベート」というものを渡すことを条件に、大規模修繕の契約を取り付けるケースがあります。住民にとってはマイナスとなる仕組みなので、どのような問題があるかなどをしっかり把握してくださいね。
リベートとは、割り戻し金という意味です。報酬金や謝礼金などの名目は複数ありますが、代金の一部を支払ったものに対し、払い戻すことをリベートと言います。
割り戻し金という意味でならば問題はありませんが、近年はそれを名目に手数料や賄賂の受け渡しを行うケースも増えてきています。勿論このような不必要なリベートを渡してしまえば、独占禁止法などの法律に違反することもあるので注意が必要です。またリベートを渡すことを条件に、契約を取り付けるようなケースもあるかもしれません。勿論そうなれば業者間にとっては安定した利益が得られるため利点はありますが、一方で消費者にとっては、まったくメリットはありません。
マンション大規模修繕の場合、多額の費用が動きます。そのため管理会社と施工会社間でリベートが発生しないようにチェックすることが必要です。
マンション大規模修繕の業界でリベートの問題が囁かれ始めたのは、1990年代からと言われています。その頃のリベートは、大手の管理会社と設計コンサルタントが手を結んだことが始まりでした。
設計コンサルタントがリベートを行うメリットは、大規模修繕費用を多くもらい利益を上げること。大手の管理会社もリベートがもらえるため、両者にとって利点があったと言えます。
2000年代になると、さらにリベートは広がり、現在に至ります。もちろんリベートなどの悪徳な方法に対して、国交省や計画修繕施工協会による相談窓口の設置など、国による対策も進められています。しかし、リベートの受け渡しを行うケースはまだまだゼロには至っていません。そのため自らを守るためにも、リベートに対して目を光らせておくことが大切です。
実際にリベートが疑われるような事例について紹介します。具体的な事例を知ることで、チェックするポイントも学びましょう。
大規模修繕を行う際に、工事業者をきちんと選定できるように設計監理方式を採用。設計事務所(コンサルタント会社)を選定しました。その後、仕様書や設計予算書を提出してもらい、資本金や年商など最低限度の参加条件をつけて業者募集。5社の見積もり参加があり、ヒアリングの結果Aという工事会社に決定となり修繕工事が開始されました。
しかしその後、現場での打ち合わせの席で現場監督が「自分が作成した仕様書や設計予算書」という発言が…。口がすべった様子だったため、何度か問い詰めましたが、仕様書や設計予算書の件に関しては現場監督だけでなく、設計監理者も全く話してくれません。
見積もりを設定してもらった際、5社の金額が横並びで、ほとんど変わらない額だったため、談合やリベートなどを疑っています。
マンションの塗装を行う時期になり、管理会社の方が大手の工務店に見積もりをとることに。管理会社に対し、相見積もりをした方が良いと伝えましたが「大手の工務店以外に依頼すると、今後のメンテナンスなどに悪影響なのでは?」と言われました。
しかし直接塗装業者に依頼したほうが安くなるはずと考え、何度も管理会社に言いましたが、もう大手の工務店に決定していることと言われ、相手にもされません。
相見積もりもとらずに施工会社を決めるような方法に対し、リベートをもらっているのでは疑っています。
リベートが疑われるような状態であれば、適正な価格で修繕工事を行ってくれるとは思えません。必要以上に高額になってしまえば管理費が不足し、住民に経済的な負担がかかってしまいます。
どうしても管理会社やコンサルタント企業などを間に挟むと、仲介手数料やリベートが発生しやすくなるので、信頼できる会社に直接相談する方が安全でしょう。
マンション大規模修繕を行う際には適正な費用なのかどうか、厳しい目でチェックしてくださいね。