ここでは修繕プラスαでマンションの資産価値を高める改修工事について解説しています。
大規模修繕工事はマンションを新築時の状態に戻すことを目的としていますが、それだけだと建物や設備の維持・回復をするのみです。
年数があまり経過していないうちはそれでも充分なのですが、新築から何十年も経つと徐々に陳腐化して、資産価値を下げてしまう危険性があります。今では当たり前のようにある性能・設備が無いといったことが起きるからです。
したがって高経年マンションでは修繕工事にプラスαするかたちで、現在のマンション性能の水準に見合うように改良や変更を行う必要が出てきます。
こうしたマンションのグレードアップのための工事を改修工事と呼びます。
では高経年マンションを放置しておくと、どのような不具合が生じるのでしょうか。国土交通省の「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル(平成22年)」によれば、高経年マンションの陳腐化の例として以下のようなものを挙げています。
改修工事は以上のような点に注意しながら優先順位を決め、費用が嵩みすぎないように慎重に検討する必要があります。
マンションを陳腐化させないための改修工事にはどのようなものがあるのか、以下に具体例を紹介することにしましょう。
これは外観イメージの陳腐化を防ぐために行われるものです。マンションの外壁仕上げの代表的なものに吹き付けタイルがあります。これは樹脂や石材、砂などを混ぜたモルタルを吹き付けたものですが、汚れが目立つ・寿命が短いといった欠点があります。これを本物のタイルにすると高級感が出て汚れも目立たなくなるので資産価値アップにつながります。
築年数の古いマンションではエントランスまで階段を上り、ドアの開閉は手動といったところも少なくありません。住人の高齢化が進んでいる場合は、出入りの負担が大きく使い勝手の悪いマンションになっているケースもあります。これを段差部分にスロープを設けてバリアフリー化、オートロック付きの自動ドアにすることで、車椅子でも出入りが楽になり、同時に防犯性能も向上させることができます。
意外と見落としがちなのが玄関ドアです。位置づけとしては共用部に当たるため、1戸だけ勝手に交換することはできません。古いタイプの玄関ドアは銅板に塗装しただけで開閉も重く、遮音性や断熱性が低いものが多くあります。これを断熱材を挟んだ気密性の高いものに交換すると出入りが楽になるだけでなく居住性も高めることができます。
ラウンジなどの共有スペースにゆとりがあるのであれば上手に活用することで新しい設備を設置することも可能になります。最近のマンションでは宅配ロッカーやトランクルームが用意されていることも少なくありません。古いマンションのデッドスペースをこうした設備に改造することでマンションの魅力をアップさせることができます。