ここでは監理についての概要や設計監理方式と責任施工方式の違いについて解説しています。
長期にわたる大規模修繕では設計図書通りに工事が行われているかをチェックする必要がありますが、このことを専門用語で「監理」と呼んでいます。
読み方が同じなので「管理」と混同してしまうかもしれませんが、監理と管理は全く性質の異なるものです。
監理は建築士法で定められているもので「建築士の責任において工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないか確認すること」とされています。つまり建築士でなければ監理はできません。
一方、管理には全体を統制するという意味があり、工事管理を行う人に法律上の定めはありません。施工者が工事現場をまとめるために工程、品質、安全、予算などを監督・マネージメントすることを言います。
監理は設計者の立場から行うもので、管理は施工者の立場から行うものと考えるとわかりやすいかもしれません。
建築士が工事監理を行って設計図書通りの工事が行われていないことが確認されると、工事施工者に対して設計図書に従うことを求めます。もしこれに従わない場合は建築主である管理組合に報告されることになります。
監理に関連して覚えておきたいのが、大規模修繕工事の発注形態は設計監理方式と責任施工方式の2種類あるということです。両者について簡単にまとめると以下の通りになります。
設計監理方式とは設計や施工監理を工事会社とは別の設計事務所やコンサルタントなどに委託する方式のことで、分離方式と呼ぶこともあります。
設計・監理と施工が分かれているため、同一基準で工事業者の選定がすることができ、厳正なチェックにより工事費用や品質に客観性が出るというメリットがあります。施工費用とは別に設計・監理の費用がかかってしまうのがデメリットです。
責任施工方式とは工事業者に修繕工事の設計から施工まですべてを任せる方式のことで、監理も同じ会社の建築士が行うことになります。
管理会社に工事を依頼するケースではこの方式が採用されることが多く、コミュニケーションが取りやすいというメリットがあります。別途監理費用がかかることはありませんが、その分不透明な工事費用や監理の甘さが心配されます。