住人へのケア

ここではマンションの大規模修繕を行う際の住民への周知方法や内容について解説しています。

大規模修繕工事の周知方法と具体例

マンションの大規模修繕を行うことが決まったらできるだけ早い段階でその旨を住民に周知することが重要です。

長期修繕計画の情報公開により工事を行うことがある程度わかっていたとしても、具体的にどのような準備や心構えが必要なのかを伝えておかないとクレームにつながるからです。

>周知の方法は工事計画の説明書類をポストに投函したり掲示板にスケジュールを貼り出すといったことの他に、場合によっては個別に訪問して説明することも必要です。

実際に工事が始まる前に周知徹底しておかなければならない具体事例としては以下のようなことがあります。

作業スケジュール・作業時間

工事計画が明確になった時点で掲示板などにスケジュールを告知します。工事が休みの日や何時から何時まで作業を行うのかを施工業者に確認しておくことが必要です。天候などの影響でスケジュール変更になった場合は迅速に追加告知をします。

仮設工事に伴う騒音やホコリの発生など

大規模修繕を行う場合は最初に足場を設置したり、敷地内に工事関係の機材を運びこむなどの仮設工事からスタートします。足場を組む際に金属同士がぶつかる音がしたり、機材搬入時はホコリが舞い上がることがあるので事前のお知らせが必要です。

下地補修や外壁塗装をする際の音や臭い

下地補修工事や外壁の状態を確認する際に外から壁を叩いたり削ったりする音が発生します。また、外壁塗装工事や防水塗装工事では塗料などの臭いが発生することがあります。住人の中にはシンナーが苦手という人もいますので事前にアンケートをとって施工業者と対策を検討します。

ベランダの使用不可期間や荷物の撤去

外壁塗装やベランダの防水工事を行う際はベランダに出られなかったり、洗濯物が干せなくなる期間があります。ベランダに荷物が置いてある場合は工事が始まる前に撤去してもらう必要があるので住人に協力を仰ぎます。場合によっては荷物一時置き場の確保も必要です。

問い合わせ窓口を設置

工事に関する告知をしっかり行なっていたとしても思わぬことでクレームが発生することがありますので問い合わせ窓口を設置します。管理組合だけでは対応できないこともありますので施工業者に協力してもらい、緊急連絡先なども案内した方がよいでしょう。

住民に負担がかからない工法とは?

最近は無足場ブランコ工法という、ロープで吊るされた職人さんが作業をする工法を採用した修繕業者が増えています。これなら、足場によって日差しを遮ることもなく、洗濯物も干せるし、防犯上の心配もないように思えます。しかし、どうしても作業自体の精度や効率は落ちてしまい、点検も荒くなってしまうので、肝心の修繕工事がおろそかになってしまうことが多いようです。

従来の足場を組んだ施工でも、日光を通しやすい特殊なシートや、防犯カメラやセンサーを設置しての安全対策、洗濯物情報の住民周知といった施工業者の徹底したサービスによって、不便さや不快感を感じさせず、正確な工事をしてくれる業者もあります

足場や工事音は住民のストレスに直結する部分なので、見積もり時やプレゼン時にしっかり説明してもらうようにしましょう。

住民のプライバシーへの配慮

マンションの大規模修繕を行う際、工事関係者など多くの人が出入りを行いますが、その際に住民のプライバシーに配慮していなければトラブルの原因になってしまいます。きちんとプライバシーに配慮しながら、修繕工事を進めることが大切です。

修繕工事中、工事関係者が立ち入るスペースとは

ロビーや階段、廊下など共有スペースのすべての場所に立ち入ることがあります。しかし基本的に住民の住居内に侵入することはありませんので、扉を閉めておけば室内の様子を見られる心配はほぼありません。

ただし外壁塗装の場合、窓越しの作業が必要です。そのためカーテンを開けていれば窓越しに部屋を覗かれたと思われることも。さらにバルコニーに修繕が必要な箇所あれば立ち入ることもあります。バルコニーは忘れがちですが共有部分なので工事で立ち入られたとしても問題はないのです。外壁塗装では様々なシーンで工事関係者と接するため、住民にとってプライバシーが侵害されたように感じたりする可能性があります。

プライバシーに配慮して工事をすすめましょう

住民に不快な思いをさせないようにすることは、マンション大規模修繕において重要なポイントです。

  • 優良な業者を選択する
  • 住民説明会を開催する
  • 日常的に住民とコミュニケーションを図る

優良な業者を選択することは基本中の基本です。住民説明会を開催することによって、いつどのような工事が行われるのか、いつカーテンを閉めておいた方が良いのかなど住民に周知することが出来ます。ただ住民説明会に参加できない住民もいるため、必ず数回開催するようにしましょう。

住民とコミュニケーションを図ることで、バルコニーが共有部分と言う認識も高めることができます。トラブルを回避するためにも、住民への配慮は怠らないようにしてください。

防犯対策

マンションの大規模修繕中は、オートロック付きのマンションであっても鍵を解除していることがほとんどです。そうなれば工事中の防犯を不安視する住民も多いはず。防犯について考えていなければ、思いもよらない事件やトラブルに巻き込まれてしまうので注意してください。

マンション工事中のリスク

大規模修繕をする際には、さまざまなリスクが高まります。

  • 足場があるため、上層階のバルコニーに侵入しやすい
  • 足場がシートに覆われており、外部から侵入が見つかりにくい
  • 上層階の住人は、施錠忘れが多い傾向にある

つまり通常の状態であれば、思いもよらないリスクがマンション大規模修繕の際には発生してしまいます。また住民に防犯のリスクを周知させなければ、簡単に外部の人を侵入させてしまうでしょう。

効果的な防犯対策

マンションの住民自身が意識しなければならない防犯と、工事を請け負う会社が実施する対策があります。しっかりとしと防犯対策をとるためにも両者が協力できるようにしましょう。

住民に対する防犯指導

まず住民に対してですが、基本的には施錠を徹底させることが大切です。とくに上層階の住民は施錠を怠りがちと言われています。工事中は誰でも侵入できることを伝え、常に施錠するように周知してください。また扉だけでなく、窓の施錠も忘れずに伝えましょう。足場が組まれている間は、簡単に上層階まで上がってくることが出来ます。

さらに外出時や夜間も電気を灯しておくことで、誰かが室内にいると思わせることが出来ます。誰かがいるような室内に侵入するケースは少ないため、電気を灯すだけでも防犯対策になりますよ。

工事を請け負う会社への確認

工事を請け負う会社を決める際、防犯への取り組みがどうなっているかも重要なポイントです。防犯への意識が高い企業に任せることで、もしもの自体を防ぐことができるでしょう。

  • センサーライト
  • 赤外線センサーによる威嚇システム
  • 防犯監視カメラ

上記のような対策を最低限行ってくれるように企業に要望してください。これらの対策をとることで工事関係者がいない深夜などの防犯にも繋がります。安全に安心してマンション大規模修繕を行うためにも防犯対策は徹底して取り組みましょう。