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【番外編】次回修繕と建て替えのタイミング

ここでは次回マンション大規模修繕の時期や建て替え検討のタイミングについて解説しています。

マンションにおける耐用年数の考え方とは

耐用年数という言葉を、耳にしたことがある人は多いでしょう。しかし、ほとんどの人が耐用年数=寿命だと誤って認識しています。マンションだけでなく、自動車やパソコンなどにも用いられる耐用年数とは、税法上の考えに基づいた使用に耐えられる年数のことです。
マンションの耐用年数はSRC造やRC造で47年。木造で22年と決められています。
耐用年数を自動車で例えると、普通乗用車を新車で購入した際の耐用年数は6年となっています。自動車の価格が150万円だった場合、「150(元の価格)÷6(耐用年数)=25」となり、自動車の価値は毎年25万円ずつ下落すると考えられているのです。しかし、新車で購入した自動車は、メンテナンスをしっかり行なえば、6年以上乗り続けることができます。マンションも同様に、耐用年数を経過しても修繕を施せば、47年以上住み続けられるのです。

大規模修繕工事は10年ごとに行うのが目安

マンションを新築して最初に大規模修繕工事を行うのはだいたい12~13年後くらいですが、その後は10年ごとに行うのが一般的です。

10年周期で大規模修繕を実施しなければいけないという法律があるわけではないのですが、だいたい10年もすると外壁がひび割れを起こしたり、防水機能が落ちて漏水などが起きやすくなるのは確かです。

この10年という単位は防水に関する保証が10年で満了し、前回大規模修繕を行なった施工会社の定期点検も終了してしまうということが少なからず影響しています。

では10年間は何もしなくて大丈夫なのかというと、そんなことはありません。外壁塗装の保証は5年位ですし、天井塗装や鉄部塗装の保証は2~3年というケースがほとんどです。

点検のイメージ裏を返せば10年未満で何らかの不具合が生じる可能性が高いということになります。不具合を放置してしまうと、建物の劣化が加速しまいますのでその都度専門業者にチェックしてもらい対応しなくてはいけません。

10年ごとに大規模修繕を行うのはあくまで目安にしか過ぎません。マンションをできるだけ良い状態で保つためには日頃のチェックとメンテナンスは不可欠で、状況によっては大規模修繕工事の時期を調整することも必要になります。

マンションの環境によっては修繕を施す時期が早まる!?

マンションの劣化を進めてしまう大きな原因に、天候による外部環境の影響が挙げられます。そのため、マンションの立地環境によっては、劣化のスピードも速くなってしまうのです。劣化の進み方によっては、10年を経過する前に修繕を施す必要があります。特に気を付けておきたい環境について見ていきましょう。

マンションの劣化を早める外部環境

紫外線

風雨や湿気などの外部環境は、どれも外壁にダメージを与えます。その中でも最も強力なのが紫外線です。紫外線にはA波、B派、C派と3つの種類に分類され、外壁にダメージを与えるのはA派、B派の2つとなります。外壁に紫外線が当たると、塗料の樹脂層を0.1mmほど破壊してしまいます。樹脂層が継続的に破壊されると塗膜の効果が劣化し、外壁のバリア機能が果たせなくなるのです。

塩害

オーシャンビューのマンションは、不動産としても非常に人気が高い物件です。しかし、潮風の影響を受けやすいデメリットもあります。金属や窯業を使用している外壁材を使用した場合は、耐久性に支障をきたす恐れがあるので注意が必要です。また、給湯器などの機械製品も屋外に設置すると、劣化が早くなってしまいます。大規模修繕を行なう際は、塩害対策も併せて施すようにしましょう。

築10年を経過したマンションでチェックしておきたい個所

一見、居住性に何ら問題のないように感じるマンションでも、普段目につくことのない場所で劣化が進んでいる恐れがあります。築10年を経過したマンションで起こりやすい劣化症状を紹介します。特別な知識がなくても状態が判断できる症状例なので、是非一度確認してください。

躯体(くたい)

躯体とは建物を支える骨組みのことです。特にコンクリートを下地にしている場合は劣化によって、ひび割れや欠損、爆裂、といった症状が現れます。劣化によりコンクリートが中性化してしまうと、内部に組み込まれている鉄筋が発錆(はっせい)します。このような状態になると安全性が確保できなくなるため、早急の修繕が必要です。

屋上防水

屋上は外壁よりも紫外線のダメージを受けやすい場所です。劣化が進みやすい場所として、コーキング部分、防水塗装の色あせ、といった症状が見られるようになります。雨が地面に流れ落ちる外壁と違い、屋上は溜まってしまった雨水を排水ドレンに流し込むまでのタイムラグがあります。そのため、屋上の劣化を放置してしまうと雨漏りを引き起こし、躯体にダメージを与えてしまうのです。

外壁

外壁は目視での確認がしやすい場所です。初期の劣化症状として塗料の変色や、めくれが発生します。この状態を放置してしまうと、ヒビ割れや欠損といった症状を引き起こします。外壁を手のひらで触れて、白い粉が付着するようであれば、塗膜の劣化が進んでいる証拠です。このチョーキングと言われる現象が確認できたら、修繕時期と判断しても良いでしょう。

マンションの耐用年数を延ばすための大規模修繕とは

マンションに末永く住み続けるためにも、修繕するポイントをしっかり押さえておきましょう。マンションの大規模修繕は劣化している個所の修繕だけではなく、マンションを全体的に考えることが重要です。

外壁塗装

外壁塗装はマンションの耐久性だけではなく、美観性を高めるためにも大切な修繕作業です。マンション経営を行なうにあたり、美観性は入居率に大きく影響します。近年では豊富な効果を持つ塗料も数多く登場しています。中には高い遮熱効果を持つ塗料もあり、居住快適性の向上も期待できるのです。

コンクリート・タイルの補強

外壁の劣化が進むと、コンクリート片やタイルが落下してしまう恐れがあります。居住者や通行人に直撃してしまうと、命にかかわる事故となる恐れがあるため補強は徹底してください。コンクリート・タイルは注入工法による修繕が可能で、外壁塗装と併せて行なうと費用を抑えることができます。

躯体の修繕

マンションの耐久性に大きく影響する躯体の劣化は、確実に修繕しておくようにしましょう。躯体の修繕方法は、劣化症状によって異なりますが、ヒビ割れ、欠損、シーリングの修繕は外壁塗装と一緒に依頼することが可能です。

居住性の改善

今後、長期的なマンション運用を考える場合は、先を見据えた居住性の改善を施しておくといいでしょう。高齢化が進む現在では、住宅のバリアフリー化が非常に重要な課題となっています。少なくとも共有部は手すりやスロープなどを設置した、バリアフリー化を進めてもいいでしょう。火災リスクを考慮し、オール電化を導入するマンションも多くなっています。

外壁の状態を維持するためには塗料がポイント

大規模修繕が必要となるマンションは、一般住宅と比べて足場設置などの費用が高額になってしまいます。できるのであれば、外壁塗装はあまり頻繁に行ないたくないものです。様々な種類のある外壁塗料は、それぞれ価格や特徴が異なります。特徴の違いを明確にしておくことで、予算や要望に適った外壁塗装が施せるでしょう。

各塗料の特徴

ウレタン塗料

密着性能に優れたウレタン塗料は、外壁だけではなくトタンやプラスチック材質にも使用が可能です。また、低価格で塗装を施すことができるため、公共機関やアパート、マンションなので頻繁に使用されています。
耐用年数は5年~8年が目安です。

シリコン塗料

シリコン塗料は一般住宅で最も多く使われている塗料とされています。シリコン塗料の特徴として、商品の幅広さが挙げられるでしょう。カラーバリエーションも豊富な種類から選べるので、模様替えを兼ねた外壁塗装にもうってつけです。
耐用年数は8年~12年となっています。

フッ素塗料

次世代塗料であるフッ素塗料は、以前までは高価だったこともあり、一般住宅ではあまり使われない塗料でした。近年では企業努力の甲斐があり、価格も安くなっています。耐久性、耐熱性、防汚性に優れたフッ素塗料は、耐用年数も15年程と長く、数ある塗料の中でも高いスペックを有しています。ウレタン塗料やシリコン塗料と比べると、コストの高い塗料ではありますが、修繕の回数を減らしたいのであればフッ素塗料がお勧めです。

マンションの寿命と建て替えの検討時期

マンションは定期的な大規模修繕や適切な改修などを行なっていれば長持ちさせることができます。

しかしいくら修繕を行なっていたとしても新築時と全く同じ状態に戻るわけではないので、いつかは物理的な寿命がやってきて建て替えを検討しなければならなくなります。

ではマンションの寿命はどのくらいかというと一概に何年と言うことはできません。建てられた時期によって工法も違いますし、かつて30年と言われていたマンションの寿命も近年の技術革新により驚異的に伸びているからです。

とはいえ何らかの目安が知りたいという場合は法定耐用年数が参考になります。1998年以降に建てられた鉄筋コンクリート造の建物の耐用年数は住宅47年、事務所50年となっています。

耐用年数=寿命ではないので急ぐことはありませんが、築年数が50年を迎えようとするマンションの場合は建て替えも視野に長期修繕計画を見直すことが必要です。

但し、建替えをしようと思っても住民の反対など様々な障壁があるためスムーズに進めるのは難しいと考えられます。

マンションの建替え等の円滑化に関する法律が2002年に施行され、区分所有者の5分の4以上の賛成で建て替えが可能になったものの、費用の捻出ができずにあまり進んでいないというのが実状です。

マンションのイメージ実際に建て替えを行なった例ではデベロッパーの建て替えプランを区分所有者全員が同意する等価交換方式や、区分所有者法の決議に基づき、反対者に対し建て替え組合が売渡請求を行う方法で進められるケースが多いようです。

いずれにしても多くの住民がいるマンションのことですので、建て替えは慎重に進めなければなりません。

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